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大型店に流れる消費者を、地元小店舗に呼び戻すには(5)
〜商店街や小店舗にこそチャンス〜


商店街や小店舗にこそチャンス

 これからの小売業は効率を追求した販売が成り立たなくなる(成り立つ地域は一部に限られる)のは明らかだ。そうなるとどうしても非効率販売にならざるを得ない。問題は非効率販売で成り立つ仕組みをいかに作り上げていくかだろう。
 ここで地元商店街、小店舗に目を向けてみよう。
なぜ、商店街や小店舗が成り立たなくなったのだろうか。
1.品数が少ない
2.営業時間が短い
3.駐車場がない
4.価格が高い
 どれを見てもスーパーや大型店に負けている。しかし、これらの点は本当にデメリットなのか。
 たしかに営業時間の短さは致命的だ。現在は夜型社会になっている。なのに、夕方6時に店が閉まっていては、せっかくの客を逃すことになる。そこに目を付けて客を獲得してきたのがコンビニエンスストアである。「開いててよかった」という某コンビニのキャッチフレーズがそのことをよく象徴している。
 「3ちゃん+1経営」的な小店舗では人員配置の問題もあるだろうが、営業時間の問題は再考すべきだろう。

 次に駐車場だが、高齢化社会は駐車場を必要条件から十分条件に変えている。都市部では若者の車離れも急速に進んでいることを考え併せれば、駐車場は絶対必要な要因ではない。
 問題は買った荷物の運搬手段で、これさえ解決されれば問題のほとんどは解決される。持って帰るから、買い物荷物の配達へ、と発想を変える必要がある。要は来店客を待つ受け身の姿勢を能動的な姿勢に変え、買い上げ商品を自宅まで配達するようにすればいい。
 このサービスを有料にするか、無料にするかはあるだろうが、配達サービスが利用できれば客の買い物総額がアップするのはほぼ間違いない。さらに配達のついでに「ご用聞き」をすれば、次の買い物につなげることもできる。

 実はこうしたことは昔から行われていた。お米や醤油は必ず配達してくれていたし、そのついでに他の商品を注文するという光景はどこの家庭でもよく見られたものだ。それがいつの頃からかそういうことをやめていったのと、スーパーの普及、小店舗の衰退は軌を同じくしている。
 だが、衰退した配達サービスがいま続々と復活し始めている。先導しているのはスーパーだが、コンビニもこのサービスを開始している。本来、地域密着の商店街や小店舗が行っていたサービス分野にまでスーパーやコンビニが積極的に取り入れているわけで、商店街や小店舗は指をくわえて見ているのではなく、サービスの原点に立ち返り、積極的に行うべきだろう。

 いやー、商品の品数と価格ではスーパーに負けているし、という泣き言が聞こえてきそうだが、売れている要因は価格だけではない。例えばコンビニの商品はスーパーより高いが売れている。売り場面積もはるかに狭く、地方の「○○食料品店」と似たようなものだ。
 では、なぜ地方の「○○食料品店」や商店街はコンビニほど売れないのか。時間的、距離的な利便性の違いである。特に時間的な利便性の違いが大きい。従来は来店客待ちだったコンビニがいま、より消費者に近づくために商品の配達や移動販売の分野にまで進出し出した。さらに顧客の囲い込みのためにポイント制も導入している。

 一方、地元商店街や小店舗はいまだに来店客のみを相手にし、まるで「3丁目の夕日」などの映画の世界を懐かしむかのように、商品を雑然と陳列して顧客に探す楽しみを与え、夜7時以降に来店した客には健康のために翌日午前中にもう一度足を運ぶ思いやりを提供し、客の記憶力を増すためにあえて買い物品目・金額のレシートも発行しないところが多い。
 ポイントカードで顧客を自店が囲い込むのは他の店で買物をする客の自由を奪うとばかりに、ポイントカードすら作らないところが大半だが、いずれもこうしたことは消費者への「好意」から出発していると思われるが、その「真意」は消費者に伝わりにくく、結局、消費者は利便性のいいスーパーやコンビニに流れてしまっている。
 せっかく時代が地域密着の小商圏を求めているにもかかわらず、地元商店街や小店舗はそれらに積極的に対応しようとしてないように見えるのはなぜか。たしかに不足しているものは多いし、導入するのに資金を要するものもある。だが、愚痴や不平を言っていても始まらないだろう。要は自らの努力不足を素直に認め、いいことは積極的に取り入れていけばいい。
 取り入れるべきこと、必要なものなど色々あるが、取り入れやすいのがポイント制だろう。消費者を顧客にし、さらに固客(固定客)化していくためには最低限必要な制度だ。次回は、このポイント制度を安く、手軽に導入する方法を紹介したい。
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